News
2022.03.18プロダクトデザイナーの視点 Vol.2:木と人の家具への想い
プロダクトデザイナーの視点Vol.1に続き、木と人のプロダクトデザイナー宮田孝典さんに、木と人の家具への想いを聞きました。
―木と人の家具デザインへのこだわりは?
以前にも一度Newsでご紹介しましたが、まず木と人の家具シリーズのコンセプトが、「フリー板が主役」の商品であることから、スギ材の特徴・良さを活かしたシンプルなデザインに仕上げました。
その上で、オフィス家具としての機能性も考え、使う人が自由に模様替えや連結がでる独自の構造にこだわってデザインしました。
ワークデスクの脚は取り外しが可能で、連結脚を使用すれば複数のデスクを一体化できますし、シェルフやパーテーションもオフィス空間に合わせて連結して使うことができます。
また、家具を置いたときに空間がスッキリと見えるように、板面と金物の段差をなくしたフラットな形状にもこだわっています。
*木と人の家具デザインについてはこちら→News「デザインへのこだわり」
―プロダクトデザイナーから見る、木と人の家具の魅力とは?
やはり、木と人ブランドのプロジェクト活動です。
これまでいくつものプロダクトデザインに関わってきた中で、他とは違う木と人の強み・魅力は、ものづくりを通して、今ある問題点に向き合い、プロジェクトとして取り組んでいるところだと思います。
一つは、山の問題。
日本の森林の約4割は人工林で、人工林は手入れをしないと健康な状態が保たれません。
木を伐採して管理し、循環させるサイクルが必要不可欠です。
しかし今、林業に関わる人材が不足していることや、日本の木材需要の低下と輸入材の増加により、豊富な資源があるにも関わらず、手入れが行き届いていないという悪循環に陥っています。
もう一つは、生活に関わる問題。
私たちの身の回りは、多くの“物”で溢れかえっています。
その中には、安い、便利などの観点だけで作られ、問題になっている製品もあります。
例えば、調理器具では、コーティング材の一部に発がん性物質が見つかり、使用が規制された物や、衣料品における海外での低賃金・強制労働の問題、食品の産地偽装などがあります。
このような問題を通して、ものづくりには安心安全な材料を使い信頼できる加工が施された「産地・製造の透明性」が求められています。
また、消費者も物質的な豊かさより、製品の成り立ちや在り方に賛同し、応援したい、買いたいと思う人が増えているのではないでしょうか。
木と人ブランドは、富山の森林組合などから材料を仕入れ、富山の職人による製造、販売まで一貫した管理体制の下、made in TOYAMA製品を提供しています。
プロダクトデザイナーとして、今後は木と人のような生活や社会に良い影響を与える製品が増えていってほしいと思っています。
―実際に携わってみて感じたことはありますか?
改めて、プロダクトデザインのやりがいや楽しさを感じました。
この仕事では、ものづくりを通して毎回異なる素材や加工方法について学べる面白さがあります。
木と人では、富山の杉から作られる「フリー板」と出会うことができましたし、木と人の家具に関わる林業の人々や鉄工場の人々まで、多くの人との関係性を築くことができました。
生活や社会について何ができるのか考えることで、物事や人の関係性がスムーズにつながるきっかけになれたのなら、プロダクトデザイナーとしてとても嬉しいですし、「良い仕事ができた」と実感できます。
―これからの木と人ブランドのプロジェクト活動について
木と人では、「空間の木質化」をメインテーマに挙げています。
DIYクリエイターのmacaさんもおっしゃっていましたが、木に囲まれた空間は本当に心地よいです。
オフィスや自宅で本物の木で作られた家具に触れ、使い、良さを感じたいという方、木と人の活動に賛同してくださる方が、これからどんどん増えていくといいなと思います。
そのためにも、今後の課題は、製品の充実に加えて、木と人のプロジェクト活動を広めていくことだと感じています。