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2022.06.10コラム富山の森林・林業の現状

 

新型コロナウィルスがもたらした「ウッドショック」。

輸入材の価格高騰や最近のウクライナ情勢の影響で、近年国産材に注目が集まっています。

しかし、今なお日本の国産材自給率は41.8%と、安くて供給量が安定している輸入材に頼っている傾向にあります。

そこで今回は、富山の森林や林業にまつわるお話を、富山県森林政策課のご担当者に聞きました。

 

 

Q:ウッドショックやウクライナ情勢における、国産材への影響はありますか?

それ以前から、木を伐採して有効活用しようという動きはありましたが、ウッドショックやウクライナ情勢による輸入材の供給不安の高まりから、ここ数年で国産材への期待がより高まってきています。

また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一つとして、国産材の利用を進めていこうという国の方針もその流れを後押ししているかもしれません。

 

さらには、昨年改正された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」では、民間の施設でも国産材の利用をすすめることとされています。

2000年に国産材の木材自給率が十数パーセントしかなかった時代を考えると、今は木材自給率が40%程度と国産材利用へとシフトしつつあります。

富山県でも、住宅をはじめ、公共建築物や民間施設での木材利用を促進していきたいと考えています。

 

 

Q:富山県の森林の現状を教えてください。

富山県だけでなく、日本は森林資源が充実していて、木材として利用できる状態の森林が多いんです。

富山県の場合、人工林の割合は全体の3割弱。

地形が急峻なところや標高の高い場所が多くあるため、全国平均の5割弱から見ると少し比率は低いですが、そのほとんどが「杉」の森林です。

樹齢が高く、木材として利用できる人工林が全体の9割も占めています。

建築用材に適した木材の目安は「樹齢41年以上のもの」と言われており、富山の人工林は適切なタイミングで伐採されず、どんどん増えていっているという状況です。

その一方で、樹齢が浅い森林が少ないため、未来の資源を確保していくためには、木を伐採して活用し、新しく植樹して循環させることが重要な課題となっています。

それには、林業に従事する人材の確保も大事ですし、県産材をもっと活用していかなければならないと思っています。

 

 

 

Q:「木と人」の活動について、どう思われますか?

県産材や国産材に目を向けて活動している人・団体はいますが、まだ多くないので、「木と人」の活動によって、一般の方が木材や森林に触れ合える機会が増えるといいなと思います。

家庭で使える製品の展開や、県産材の良さをどんどんPRしてもらいたいです。

 

 

Q:以前、「木と人」では植林ボランティアに参加した経験があるのですが、一般の方も木と触れ合えるイベントなどはありますか?

5月末に「とやま森の祭典2022」という木材や森林に触れ合うイベントを開催し、子どもから大人まで多くの方にご来場いただきました。

県産材の良さや楽しさを知ってもらえる機会になったのではないかと思います。

 

また、富山県では、毎年10月を「とやまの木づかい推進月間」と定め、県産材の利用促進に向けたイベントなどの広報活動を行っています。

「とやまの森づくりサポートセンター」でも、森林ボランティアの支援やイベントなども開催していますので、ぜひ一度HPをチェックしてみてください。

https://www.taff.or.jp/saposen/

 

 

国産材の需要が高まる中、国産材を活用することはもちろん、持続可能な森林について考えていくことも、日本の森林を守っていく上で大切なことかもしれません。

木と人でも、もっと富山県産材の良さを発信していきたいと思います。

ぜひみなさんも、県産材の良さを知り、学び、本物の木と触れ合う機会を持ってみてはいかがでしょうか?